文世さんに逢いたい

「婆猫ふみちゃんのスローライフ」を綴りたくて、 2004年から始めたブログですが、 ふみは2009年3月に19歳10か月で逝きました。 取り残された人間のほうは、いまだに迷走する日々…。

金環日蝕と猫たち

20120522


    「世紀の“天体ショー”」と謳われた、金環日蝕。
   皆さんは、その時間帯、どのように
   お過ごしだったでしょうか。

   無職あるいは休日だと、完全なる夜型なので、
   朝7時前後に起きている事自体、滅多にない。
   でも現在はどうにか、日中のお仕事に就いていて、
   通勤準備のため6時半には起床しています
   (まだ馴れない。ずっと馴れないかもしれない)。

   ただ、こちら関東南部はあいにく雲が多めでした。
   だから、窓外の空模様を確認すると早々に諦め、
   8時過ぎに駅へ向かう路上で、
   かろうじて「欠けている状態」を確認した程度です。

   金環日蝕という一大イベント
   (一生一度という誘い文句にはなびかないぜ)
   にまるで興味が湧かなかった訳ではありません。
   でも、目覚めた時からずっと、
   大野くんが落ち着いていて… 

   いつもなら早朝5時頃から枕元で騒がしく、
   (それだけでなく、深夜に何度も起こしてくれる)
   私が起床して部屋を出るまでの90分の間、
   ひっきりなしに動き回っている筈の大野くんが、
   不思議なことにずっとおとなしかったのです。

   布団の上から動かない大野くんに、
   「どうした?だるいんか?」と手をのばし、
   耳と鼻の具合を確認しました。
   体調不良どころか、ゴキゲンな様子…。
   結局、毎朝恒例の「まとわりつき」もないまま、
   私は平穏さに戸惑って出社しました。

   日蝕は;
   呪縛からの解放、新しい一歩、
   人生の転機・再生・変革をもたらすといいます。

   私自身には何の変化らしい兆候もなかったけど、
   大野くんの様子にはドキドキしました。
   キミはすこ~しは大人になったんか?
   いやいや。やはりまだ「悪童」ですわ 

三年後に届く便り

    今週もどうにか乗り切ったぜぇ…と帰宅して、
    ポストを開けたら、虚脱感のジャブに見舞われた。

    某・健康食品からのダイレクトメールが届いてる。

    ここの商品を購入したのは、ちょうど4年前。

    ふみの右眼の上に出現した“異物”が
    悪性の腫瘍だという事は、動物病院で検査を受け、
    その当日に判明した。このブログで何度も記した通り、
    除去手術は到底望めなかった。
    ―― いつかきっと、動物医療の技術が進んで、
    老体への全身麻酔の危険も、なくなるだろう。
    術後の化学療法も、人間のそれに近づいて、
    リスクは低く、成功率は高まるだろうと信じる。
    たぶん、科学はいつか前進するのだから…

    外科的な治療は当然のこと、
    化学療法も身体的負荷が高いとなると、
    ふみと私たちに残されたものは『免疫療法』だけ。
    それに縋るしかなかった。

    動物病院で処方される内服薬の主成分は、
    「免疫力を高める効果あり」と、
    人間界(?)で認知され、浸透しているだ。
    健康情報に疎い私でも知っているものだった。
    それを、毎日2回ふみに飲ませる
    (正確には、食事に混ぜて与える)。
    ――― できるのは、これだけだった。

    で、「もっと自分たちにできる事はないか?」
    と、ネットで調べてサンプルを取り寄せたのが、
    「免疫力アップ」にかけてはAに勝るとも劣らない。
    はたして、猫にも服用させて大丈夫か?
    サンプルを持ち、動物病院を訪ねた。
    獣医さんの回答は「猫ちゃんに与えても問題ないでしょう」
    というものだったが、獣医さんは諦めようとしない私たちに、
    少々戸惑っている様子だった。
    まぁね。婆猫ふみちゃんが闘っている訳だから、
    私たち人間のほうも「絶望する」どころじゃなかったのよ。

    ただ、その後購入したF(安価ではない)を、
    ふみに与える機会は数える程しかなかった。
    そもそも、ふみは腎不全治療薬の服用を3年続けている。
    そして、それは癌の診断後もやめる訳にはいかない。
    
    強情なうえに、食が細くなったふみには、
    腎不全の薬と免疫療法Aを服用してもらうだけでも
    ひと苦労。一喜一憂の日々だった。
    ほどなく、購入したFは瓶ごと棚の奥に消えた…

    あれから約4年。
    ふみが逝ってからは、3年2か月あまり。
    健康食品Fからダイレクトメールは殆ど来なかった。
    来ても、何も感じることなく捨ててたのかもしれない。
    特に、ここ1年くらいは来てなかったと思うんだが、
    届いた事にごく普通に反応する自分に、驚く。
    時は流れたんだな…    

孤独と闘う

fumiface


    書きたい事があるにもかかわらず、
    更新が滞っておりました。
    先週の前半はネガティヴな自分と、
    後半は鼻炎薬の魔力と闘っていたのです。

    前回の日記の後、頂いたコメントによって
    (お返事が遅くなってごめんなさいっ  )
    忘れていたエピソードが甦ったり、
    あらためて猫たちの生き方を考えるなど、
    とても大切な機会を得られました。

    いつも、ありがとうございます。

     ふみが闘っていたのは、老衰と病魔だけではない。
    一番長く、ずっと闘い続けていたのは“孤独”だと思う。
    寂しさに耐えられないというより、
    「自分を独りにしておく事が赦せない」
    (人間の女性にも居ますよね、こういう恋愛スタンスの…)
    そんなポーズで私を責めていた。
    でも、ホントにそれはポーズにすぎなくて、
    心底彼女は独りが厭だったのじゃないだろうか。

    十代の頃、「猫になるよ」と友人に呟いた自分。
    つまり、「お気楽・極楽・眠り放題」を手に入れる、と。
    小学生時代から、家に十匹以上
    猫が居る環境だったのに、
    猫に対して“安穏”な固定観念を抱いていた。
    みんな出自は野良で、
    決して安穏な生涯ではなかった筈だけど。

     ふみ&ヒロ姉妹との出逢いは、
    私にとって大きな意味を持つ事になる。
    (それは、「猫との関わり」という範疇に留まらない。
    猫ブログの皆さんは解ってくださるでしょう)

    おまえはイイなぁ。仕事(学校)に行かなくてすむし、
    何の心配もせずに、のんびり眠ってられてさ…


    ―― こういう台詞を動物に向かって云うことは、
    もうなくなりました。

    大野くんは、寂しさと闘っているのでしょう。
    昨年の今頃まで、彼は睡眠時間が少なかった。
    眠ったら何かを喪うと怖れていたんだろうか。
    寝姿を滅多に見せてくれず、
    私が眠っている間も、じっと横に佇んで…

    ホントにここ一年ですね。家ネコらしい、
    居眠り姿で落ち着いてくれるようになったのは。

    留守番役としては“最凶”です。
    よくあんなに奥からモノを引っ張り出せるもんだ。
    先月、「暴風警報」で派遣先から早く帰宅した時、
    まさに我が部屋でも暴風が吹き荒れていたようで、
    大野くんが蛮行を働いている真っ最中でした。
    「何時間も早く帰ったから喜ぶかな?」
    と想像していたのに、犯行の現場を目撃されて
    大野くんはけっこう戸惑っていました 

     キミは独りじゃないんだよ。

闘っている

sld36



    1日・2日は仕事に出ていました。
   通勤ラッシュはだいぶ楽な思いができたし、
   派遣の身(時給労働者)としては、
   働けるのが有り難かったです 

   ただ、派遣先で1日・2日に出社している人は少なく、
   電話の音とか話し声なども殆どなくて、
   自然と眠気を催してきて…そこだけ困りました。

   もう、ずっと何年も、データ入力か校正(編集)の
   仕事しかしていません(それしかできない)。
   「根気の要る仕事」と言えば、聞こえは好いかもしれない。
   そういう仕事は、概ね単調な作業になります。
   集中力はもちろん必要とされているものの、
   作業する側の現実は、「睡魔との闘い」。

   私は、「起きている間は常に眠い」のです。
   眠るために生きているようなものよね。
   昼食後なんて、そりゃもう…(いっそ食べなきゃイイのか)

   ここ十年では最も長く勤めた職場の事を思い出すと、
   午後の入力業務が「睡魔との闘い」だった記憶が濃い。
   ある時、同じフロアで仲の良かった女性に
   「自分が闘っているモノ」について打ち明けたら、
   (打ち明けるって事自体、非常にアホですが…)
   「それはみんな同じだよぉ~」と言われ、驚いた 
   「えぇ~っ、ウソー!あんなモノとみんな闘ってるの 

   誰もが、特にメリハリの少ない作業では睡魔と闘っている。
   その事実を受け止めながらも、心の中では
   「でも、私を襲う睡魔は他の人たちよりも凄いモノなのよ」
   と妙に自信をもってた。愚かです。

   猫は、まず、睡魔と闘うことなどしませんな。
   だからこそ、猫という存在なんだと思う。
   (野良猫たちは、少々事情が違ってくるでしょうけれど)

   晩年は病気と闘ってた、ふみ。
   腎不全だけでも、私たち人間は「目の前が真っ暗」なのに、
   ダメ押しで癌とはね…

   あぁ…今は闘うものなど無い世界に居るんだ。
   どうか思いきり、まどろんでくれ。
   

 

2000年 春の終わり

hiro350

   この写真、大野くんじゃないんです。
   (大野くん、ショ~ック  )
   同じキジトラ&かぎしっぽで似てるけど、
   ふみの姉妹猫・ヒロです。

   仔猫時代にふみと一緒に遊んでる写真を
   出した事はありますが、ブログに単独でアップは
   初めてかもしれません。

   12年前の4月27日、暁を前に逝きました。
   2000年の初頭に「急性腎不全で余命3か月」の
   宣告を受け、桜の季節は迎えたものの、
   自身の誕生日5月1日のちょっと前に、
   空へ駈け上がってゆきました。

   「駆け上がる」という表現がふさわしいほど、
   ヒロは活発、いや野性的な猫でした。
   同じ日のほぼ同じ時間に、同じお腹から生まれても、
   これだけ性質や生き方が違うものなんだなぁと、
   ヒロ&ふみの姉妹を見ていて感じたものです。

   12年の時が流れて、
   変わったものは実はそんなにない。
   あの春の終わりに訪れた喪失感は、
   原形をさほど損なわないまま残っています。

   それでも、時間って残酷なだけではなく、
   優しいところもあるのかなぁ…
   腕組みして首をかしげながら、考え込む。

   3年前に逝ったふみは、ヒロと合流してない。
   たぶん、そうだと思うんだ。
   仲が良かったのは仔猫時代2~3年くらいで、
   やがてふみのほうから、ヒロを避けるようになった。

   彼らから、報告の便りは届かないし、
   案外もうヒロのほうは、
   生まれ変わってるのかもしれないよね 



   

背中で語る

earlysummer

  動物の後ろ姿って、なんともイイですよね 

  マヌケそうに見える時もあれば、
  哲学を感じさせる風情だったり、
  時に哀愁が漂っているような気もして、
  いつも少しだけ、声をかけるのをためらいます。

  呼ぶ声に振り返った時は、
  いつもの“家族”の顔なんだけどね。

  なに考えてんだろうなぁ。
  なに想って、なに視てんだろうなぁ。

  実は、こっちが覚悟するより遥かに早く、
  彼らは“彼岸”を見つめてるのかもしれない…

追記:後頭部フェチの猫好きに、
    この表紙はたまらんのです 
   

永遠の問いかけ

anything_else

   私より大切なモノって、何か在るの?


   『私と仕事、どっちが大事なの?』
   『私と○○(趣味とかアイドル)、愛してるのどっち?』

 ―― どの台詞も言ったことがないまま、人生暮れてゆく…
   が!言われたことなら、あります 
   あ、動物と暮らす人々なら、みんな経験者ですよね。

   ふみの場合だと、厳密には;
   『私以外に、大切なモノって何?』 でした 
   
   大野くんも、だいぶ私を困らせてくれてはいます。
   彼の“満たされなさ”は、よく解るんだけどね…
   

愛が足りない…




ohno120129


     昨年の海外ニュースだった。
     アダルトサイトを違法にダウンロードしていた男性が、
     逮捕された際に「あれは飼い猫が勝手にやった」と
     必死に主張していたのよ。

     世間の多くは失笑するでしょうが、
     猫と暮らす人々は案外「あ~可能性ゼロとは言えない」
     と思うのでは…? 

     大野くん、私のブログをチェックして愕然。
     きっと、「僕に関する記事も写真も少ない!!」と
     ショックを受けていることでしょう… 


“初夏”への扉

花見酒


   以前、他のコミュニティサイトや当ブログでも触れた、
   『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン)というSF作品。

   SFファンでなくても、猫好きでなくても、
   “タイムスリップ”と“冷凍睡眠”のテーマで、
   けっこう楽しめるのではないかと思います。

   ふみが「あけて」とせがむ度に、
   この小説の一節が頭に浮かんだものだ。
   『ぼくはあまりに多くの時間を、猫のために
    ドアを開けたり閉めたりすることに消費してきた』

   扉を器用に開ける猫は少なくない。
   (あれで、閉めてくれたら完璧なんだけどな!)
   もちろん、ふみはそんな風に器用でも賢くもなかった。
   ただ、“おねだり上手”…

   今は、大野くんの為に扉の開け閉めを繰り返す。
   陽射しの明るさと気温に、誘われる時季だもの。

   『夏への扉』に登場する冷凍睡眠(コールド・スリープ)の
   技術は、未だに開発されていない。
   手塚治虫の『ブラックジャック』では、
   「動物実験ではもう成功済み」と描かれていたけどさ。
   不治の病を抱えていても、コールドスリープを利用して
   医学が更に発展した未来まで待つ。
   ―― ふみの闘病中、数えきれない程願ったさ。

   暑さにめっぽう弱い私は、積極的に夏へは進みたくない。
   “初夏の扉”なら、開けられるかもしれない。
   

   

your eyes

af224289.jpg


   18日、山下達郎のコンサートに行ってきました。
   約1年半ぶりのライブに、感涙でございます。

   前回は、『希望という名の光』をリリースして
   まもないツアーだった。
   あの曲が映画『てぃだかんかん』(岡村隆史主演)の
   主題歌という事も知らず、会場入りしていた。
   客席でほぼ初めて聴いて、あまりに胸に響くもんだから
   泣いてしまったのだった… 

   その5か月後、東日本大震災が起こった。

   「自分の曲がここまで意味を持つ事になるとは…」
   と、山下達郎はインタビューやMCで言う。

   ステージにあげる曲の一つひとつに、
   たっぷり思いが込められていた。
   (もちろん、いつもそうなのよ。だからファンが逃げない)


      I'm dreaming
             and in my dream,I see your eyes
             They fill my heart with heaven
             I'm flying
             and in the sky,I see your eyes
             They answer all my longing
             for you

             I've always lived my life in fantasy
             No chance to take,no heart to break
             But now you take my hand and,
             you make me understand
             that two dreams,can join together

             it's morning
             and as I wake,I see your eyes
             They are my reason,they are my answer now
             Because I love you
             The one who made my dreams come true

                       (Alan O'day 詞・山下達郎 曲)
   

    20年前は、ただのラヴソングとしか思わなかった。
    時の流れは、凄いね…
    山下達郎も、“you”や“together”に魂込めて、
    歌い上げている気がした。

    エメラルドの瞳を見つめていた。
    その幸せを忘れまい。

    目覚めると(無理やり起こされる)、
    そこに大野くんの瞳が在る、その幸せをかみ締めよう…
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