文世さんに逢いたい

婆猫ふみちゃんが逝って、もう15年。
今は自分が人生休止中。ミライは10歳シニア猫です。

派遣歴長し。
限界を感じました。

2009年03月

おくる言葉

雲 雨が落ちてきそうな空。
ふみが息を引き取った翌日,
動物霊園の火葬場へ向かった。
早朝には,忙しい妹が駆けつけ,
ふみとお別れの対面をしてくれていた。

いよいよ火葬が始まる直前,
花に抱かれたように横たわるふみに,
最後の最期の言葉をかけた。
よく聴こえるよう,耳に口を近づけて。

  ふみ 大丈夫だよ,独りにならないから。
  生まれ変わらずに待っててね。
  もう一度逢えたら,その後は
  百年でも二百年でも,ずっと一緒に居よう。
  約束だよ…

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永遠の“不在”

家 出勤する時,部屋の灯りを点けたままにしていく。
もう,必要ないのに。
ホットカーペットの電源もわざわざ入れていく。
寒がるかな,今でもふみは… 猫

 思い出つまったこの部屋を
 僕も出てゆこう
 ドアに鍵を下ろした時
 なぜか涙がこぼれた

 この永い冬が終わるまでに
 何かを見つけて生きよう
 何かを信じて 生きてゆこう
 この冬が終わるまで


        『サボテンの花』 by チューリップ より

春は遠かった

春を待つ気持ちって,どうしてこんなに強いんだろう。
強いほどに,よけい春は遠くに感じられるのに。

亡くなって半月足らずでお彼岸だ…。
来週には桜も開花するらしいじゃない?
なごり雪を見たふみ。
桜も見たかったねぇ,一緒に。
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バンシー

星 この5年間,とりわけ
ふみの腎機能低下が深刻になってからの3年は,
仕事先から弾丸のように帰宅する日々だった。

すべてにおいて鈍重な私が,
退社時間の数分後の電車に飛び乗り,
地元駅からは大きな歩幅で部屋を目指す。
とにかく1分でも早くドアを開け,
「ふみちゃん,ただいま~!」と言うために。

5時間以上,独りになることが苦痛なふみ。
5時間以上も自分を独りにしておく,人間への怒り。
ふみは,婆さんなりのエネルギーで報復してくれた。
まぁ,部屋を汚すって形でね 落ち込み

「ごめんねぇ,ふみちゃん。遅くなって」
威厳のかけらもなく,帰宅後しばらくは
ひたすら謝って,ふみの機嫌をとっていた。

帰路の私は心の中で,いつも
「ふみぃ~っ!ふみちぃ~!!」と叫んでいた。
いつかその叫びが音となって,
夜の闇を走り抜けてゆくのだろうか 流れ星

シグナル

病院 午前中に病院で“腸内洗浄”をしてもらう。
ドクターはやはり,「老いた病身への負荷」を説き,
それでも飼い主側の意志が固いことを認めると,
迅速かつ丁寧に処置を行ってくれた。
時間にしたら,ほんの数分で終了。

続いて,年末から通院時の恒例になっている“皮下補液”
(点滴と違い,短時間で済む)。
補液に,ビタミンや栄養剤を加えることもできる。
ドクターは特に言及しなかったけれど,
今日注入してくれた栄養剤は,通常の倍だったと思う。
素人目でも,ふみの衰弱ぶりは顕著だ。
専門家なら尚のこと,“危険”を感じ取ったかもしれない。
ドクターの口から『延命』の言葉が出たのも,今日が初めて。

帰宅した後のふみは,「スッキリした」様子で
機嫌も好いように見えた。
便意を催してはトイレに向かい,
その都度不発に終わるという繰り返しから,
しばらくは解放される。
一時的にでも,ふみの便秘は解消された。
ただ…夕刻に確信したのだが,
ふみは立ち上がれなくなっていた。

四肢の衰えは,年明けからひどくなっている。
それは,「老化よりも腫瘍が原因だ」という。
いよいよ歩行困難が末期的になってきたのが,
今週初めだ。
それでも,トイレには歩いて行き,
ご飯や水飲みの際には立ち上がっていたのに。

今,ふみは起き上がれない。
自分の居場所,専用ホットカーペット(小型)の上で,
寝返りも打たなくなっている…d19cbca4.jpg

二十年目の雪

雪 ドラッグストアへ行こうと
(ふみ用のペットシートを買い足す為)
夜半に部屋を出たら,闇を背景に雪が降っていた。

関東で降る雪が,千葉北西部では雨で終わることが多い。
それが,前週の金曜に続いて2回目だ。
しかも,今夜の雪は細かいから,
もしかすると積もるかもしれない。

前回は,降雪に気づいてまもなく,
ふみを抱きかかえて玄関のドアから出てみた。
抱っこが嫌いな猫なのに,
あの時は終始黙って,腕の中で静かにしていた。
彼女に残された左眼は,雪の風景を捉えてくれただろうか。

気がかりは,いくらでもある。
ふみの体重は,ついに2kgを切ってしまったのだ。
あんなに必死に食べているのに。
しかも,もう10日あまり便通がない。
先週病院で,浣腸なり腸内洗浄の処置を求めたけれど,
ドクターは「あまりやらないほうがいい」という。
触診によれば,それほど溜まってもいないらしい。

けど,ふみ自身はずっと落ち着かない。
どうにか出したくて,幾度もトイレに歩いていく。
これが,年明けぐらいだったらなぁ…
まだ体力もあって,力むことができたのに。
現在のふみの足腰には,もう力が残されていない。
プロフィール

あつぶこ


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