文世さんに逢いたい

婆猫ふみちゃんが逝って、もう15年。
今は自分が人生休止中。ミライは10歳シニア猫です。

派遣歴長し。
限界を感じました。

2010年06月

小鳥の巣

 昼下がり
オフィスから廊下に出た。
小ざっぱりとキレイなビルだけれど,
建てられた時期が旧いからなのか,
どこの窓も大きく広いところが気に入っている。

廊下は遮るモノなく,やや長めの直線。
その先に開いている大きな窓の向こうに,
梅雨でも夏でもない光が見えた。
窓の外側いっぱいに光が待っていた。

考えるより前に足が動いて,
窓を目がけて駈け出していた。
5階だから「失敗する可能性」が高いけど,
勢いをつけて跳べば…!

…こんな精神状態なのかもしれないな。
窓枠の数歩前で,不様にブレーキを
自分はかけてしまったけれど,
魔法が解けなかった人は,きっと跳ぶんだ。

 この辺りはまぁまぁ,穏やかな住宅地だと思う。
「閑静な住宅街」という表現まではできないけれど,
ひと駅向こうのエリアに比べたら,
まだそんなに物騒じゃないしな… 

やや年数の経った一戸建てや分譲マンションが多い。
最寄駅にも路線バスにも恵まれていなかった頃の
名残りではないだろうか。
10年前に駅が開設されてから,随分建物は増えた。
分譲マンションの売り出しも多かったけれど,
賃貸のマンション・アパートのほうが,
今は少し多いような気がする(あくまで私の捉え方)。

朝,駅に向かう時はついつい俯いて歩いている。
帰り道は逆に,知らず知らず顔が上を向いている。
路上で犬猫の姿を探しつつ,
建物の上階のほうを眺めるのがクセになってる。
何故だか解んない。
賃貸の宿命か,住人がコンスタントに入れ替わる。
でも,ここ数年「空いたまま」の部屋も少なくない。

帰り道。カーテンも何もない,むきだしの窓を見ると
何とも言えない気持ちになる。
あの窓辺にふみが佇んでいたらどうしよう…
そう思ってしまうんだ。

彼女は決して賢くないし,方向感覚も鈍いから,
間違ってよその部屋に「ふっと現れる」かもしれない。
違うよ。そこじゃないよ。
おまえの居場所はココだろ…?

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 6/7(月)朝
大野くんの眼の異変に気づいた 
しぐさや様子は普通なんだけれど,
左の眼がうまく開かない状態になっている。
 う~ん。後足で顔を引っ掻いているうちに,
ツメが眼に入っちゃったのかな…
でも,これは2008年5月にふみの両目のバランスが
崩れている事に気づいた時の思考と同じだ。

 ひとまず会社に出なくてはならない。
『ふみのエメラルド』を想いながら,仕事して,
まっすぐに,猛烈に急いで帰宅した 

大野くんの左眼の状態が朝と変わらなかったので,
急いで動物病院に向かう。
猫かごに大野くんを無理やり収容して,
部屋を出ると,めずらしく鳴き声をあげている。
「どうした?すぐ戻れるから大丈夫だよ」と
キャリーバッグの中を覗き込んでみたら,
大野くんの左眼がバッチリ開いている 
え~自分が心配しすぎただけなのかなぁ… 

― いんや。猫は“まやかしの術”を使うのさ 
大野くんの“演技”に惑わされる事なく,
動物病院で診察を受けたら,左眼に傷が大きくついてた。
そしてそれは,「ウイルス感染」が原因に拠るものだと 

え~っ… 
原則「外出ナシ」の大野くんだよ?
週末ベランダに出るようになった事が原因か。
あるいは私自身がウイルスの“運び屋”だったのか。

しばしの間,大野くんに3種類の点眼をするのであった。

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怪速56号(夕刻限定運行)

 ふみの為だけに生きていた歳月。
一刻も早く帰るのが当たり前だった。
私がそう思わなくても,ふみが断固望んでいた。
失業したら,そりゃあご機嫌でさぁ…あの婆さん 

昨年8月,またまたまた無職になった時,
部屋にはもうふみの匂いすらなくなっていて,
どうしようもなく虚しかった…

今は,「独りがツライ」大野くんの待つ部屋へ,
真~っ直ぐに帰る毎日だ 
派遣先ビルから最寄駅,路線乗り換えの通路,
地元駅からマンションまで,私の歩みは実に速い。
帰宅から30分の間は有効な,
大野くんの“おかえりなさい”パフォーマンス
(足元に向かって繰り返される,でんぐり返し)。
それを思い浮かべて,更に歩調は速くなる 

大野くん0507

ひとり上手

 ここで度々書いているように,
私は「独りで居る」ことが大好きだ。
だから,「独りはイヤッ!」という心情に,
どうしても親身に共感することができない。

まぁ,自意識過剰だった(過去形にしておこう)
若い頃は,「ひとりぼっち」に映らないよう
無理して“つるんでいた”ところもあったけれども 

 情緒不安定で粘着質なふみは,
やや特異な猫なんだと思ってました。
これがまた,私の性質とそっくりなもんだから…

でも,20年ぶりに迎えた新家族・大野くんも,
ふみと殆ど差の無い「粘着質」な猫だったのです。

彼の場合,その生育歴に原因があるのかもしれない。
「永遠に謎」と思われる7か月(親友に保護される迄の)を,
“ソロモンの指環”を手に入れて知りたいもんだ。
あるいは,あの「動物と対話できる」外国人女性に
大野くんと逢ってもらうとか… 

 トイレ&入浴orシャワーの時に,
ドアの外で鳴き喚くのは勘弁してほしい 
大野くんには,私が「そこに居る」って事が
解ってる訳だよね。じゃあ,
そこから戻って来るのが時間の問題だって事も,
いいかげん解ってほしいんだよなぁ…
もう7か月以上この部屋で暮らしてるんだし。

ふみも全く同じ事をしていたが,彼女の場合
 「なんで私をほっておくのよ!」と,
ひたすら責めているのだった…  

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プロフィール

あつぶこ


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