ふみが高齢になってから、
外出中の頭は常に“家路”だった。
部屋に戻ってふみのご機嫌をとる事ばかり、
考えてた。よくも悪くも変わり映えのしない毎日で、
同じ事の繰り返しだったのに、どうして
あんなにシミュレーションに夢中になれたんだろう。
(動物と暮らす人は、何となくお解りでしょう)
ただ、変わらないものっていうのも無い。
終わらないものっていうのも、無い。
道は分かれてしまった。
ずっとふみと旅をしていたかったけれど、
今はそれぞれ、違う路を歩いている。
私の家路は、大野くんの為のものに
なっている。すっかり。
部屋の空気にどっぷり浸かって、
布団やカーペットと同化しているような生活。
それでも、日々が“旅路”だと思えるのは何故だろう。
家路を重ねて、それが旅になっているのかな。
旅そのものが、どこかへ帰り着こうとしている、
“家路”につながるものなのかな。
大晦日。
今年を振り返る気持ちになれずにいます。
例年以上に。
未来への不安ばかりが成長していくのを、
幸い、大野くんには感づかれていません。
旅はまだ続くんだよ…
重い足取りのこの日記を、
いつも見守ってくださって、ありがとうございます。
お蔭さまで救われています。
支えていただいています。
どうぞ、良いお年を…