雪 '01年2月初旬。
1月末で,半年やっていたバイト(週5日×フルタイム)を,
暗い気持ちで辞めた私は,
ダークな精神状態に浸っているほど生活に余裕はなかったから,
当然,次の仕事を焦って探していた。
それまで,「アルバイト」の雇用形態でしか働かなかった私だが,
その時はアルバイトだけでなく,
“派遣”“契約社員”も視野に入れて求人誌の頁をめくった。
そして,アルバイトでは望めない時給が示されている
(派遣ズレした現在から見ると,低い時給の部類に入る)
派遣会社Hの「○○社就業希望者対象の登録説明会」に応募する。
それが,初めての“派遣登録”体験だったと思う。
東陽町で行われた登録説明会に参加して,
スキルチェック,職務経歴をベースにした
派遣営業との面談を受ける。
○○社での就業を前提にした登録会ではあるが,
それに参加したからといって,採用が決定する訳ではない。
「○○社の人事担当と話をした上で,ご連絡します」
―― つまり,○○社の人事担当者が
私の職歴やスキル,そして年齢を気に入らなければ,
どんなに熱望しても採用はしてもらえない。

私と面談した営業は,出身大学が同じという事で
親近感を抱いてはくれたものの,
「年齢を先方の職場がどう判断してくれるか」
成否はそれしだいだ,と本音を洩らしていた。

営業と私の不安を裏打ちするかのように,
派遣先の人事担当者からは面談のアポがなかなか採れず,
「たぶんダメだろう」と感じた私は,見切り発進で,
もっと条件の良い求人の出ている派遣PS社に電話をかけ,
登録説明会に参加する予約を取る。
そうしたら,人生は嫌がらせをするもんで,
PS社を訪ねる前日に,H社営業から連絡が入った。
よりによって,PS社の予約と時間が重なるアポ。
しかも,面談に行ったからといって採用の保証もない。
それだけれど,順番から考えてH社に頼った案件を
優先しないとあかんだろう。
それで,PS社には「予約キャンセル」の電話をかけた。

H社営業が同行した○○社との面談では,
私が最も“生理的嫌悪感”を感じる管理職と話をした。
いかにも,「若い年齢の者しか,女とは認定しない」という
ブサイクな管理職を前にして,私は不採用を確信したのだが,
意外にも結果は“採用”だった。そして,3年居座れたんである。

前置きが異常に長くなった。
そんなこんなで,PS社には登録に行かないままだったから,
ずっと心の片隅には残っていたんだろうな。
なにかこう…実行していない“約束”のように位置づけて。
6年半後。とにかくPS社へのスタッフ登録は完了した。

担当の若い女性が「早速今日ご紹介できなくて…」と
申し訳なさそうに云うものだから,
「いいんですよ。派遣登録ができただけでも嬉しいです」と
心からの笑顔で,自分なりの感慨深さを伝えた。
縁があるもの
縁がないもの
それは,結果の積み重ねで結論を出すけれど,
果たしてそれが真の正解なのかどうか,
老けるばかりの私はあれこれと思案している。