星 この5年間,とりわけ
ふみの腎機能低下が深刻になってからの3年は,
仕事先から弾丸のように帰宅する日々だった。

すべてにおいて鈍重な私が,
退社時間の数分後の電車に飛び乗り,
地元駅からは大きな歩幅で部屋を目指す。
とにかく1分でも早くドアを開け,
「ふみちゃん,ただいま~!」と言うために。

5時間以上,独りになることが苦痛なふみ。
5時間以上も自分を独りにしておく,人間への怒り。
ふみは,婆さんなりのエネルギーで報復してくれた。
まぁ,部屋を汚すって形でね 落ち込み

「ごめんねぇ,ふみちゃん。遅くなって」
威厳のかけらもなく,帰宅後しばらくは
ひたすら謝って,ふみの機嫌をとっていた。

帰路の私は心の中で,いつも
「ふみぃ~っ!ふみちぃ~!!」と叫んでいた。
いつかその叫びが音となって,
夜の闇を走り抜けてゆくのだろうか 流れ星