街に流れる歌を聴いたら
  気づいて 私の声に気づいて
  夜にさざめく 灯りの中で
  遥かに見つめ続ける瞳に気づいて

  あなたにあてて 私はいつも
  歌っているのよ いつまでも
     (略)

  あなたは今も私の夢を
  見てくれることがあるかしら
     (略)

  街に流れる歌を聴いたら
  どこかで少しだけ私を思い出して
  思い出して…

              『夜曲』 中島みゆき



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  猫 ふみは,私たち人間の会話をよく聴いていた。
  興味なさそうに目を閉じて横になっていても,
  会話の中に自分の話題が出てくるかどうか,
  実は耳をすませてる。
  人の関心が自分に向いている事が,彼女の幸福だから。

  そんな彼女の耳が何年もとらえ続けていた,
  私の鼻歌や低い歌声は(音痴だけど),
  今はもう届いていないだろうか。

  彼女の傍らで唄っていた,お気に入りの曲を口ずさむ時,
  ふみに聴こえていたらいいな,と思う。
  そして,彼女が聴いていてくれるような気がする,
  そんな夜がごくたまにあるんだ 月