雨 焦燥のうちに時間はこぼれ落ちて,無職期間2か月。

  衆院選の週あたりからずっと,
  記憶をたどれば雨のシーンに行き着く。
  雨降りは好きなのに,気持ちが弱っていると
  まとわりつく雫に負けてしまいそうだ。

  確かに傘の出番は多い。ただ, 
  “秋の長雨”と言えるほど,様になった天気じゃないと思う。
  そういう捉え方になるのも,やっぱり
  精神状態に関係があるのかな…。
  “情感”そのものがすり減っちゃってるとかね。

  家 布団の中で聴く雨音が好きだ。
  そのままいつまでも,まどろんでいたい。

  「ふみ…」 声に出して呟いてみる。
  胸がずきんと痛む。

  猫 徹底したインドア派なのに,
  何故か雨の夜は,必ず散歩に出たがったね。
  ホントにあれはどうしてだったんだろう。

  雨の日。猫は人間以上に眠いらしい。
  いつもは出勤準備を妨害しまくるふみが,
  睡魔に完全に搦め捕られて,微動だにしない。
  「いつもこうだと助かるなぁ」
  手荷物よし!戸締りよし!と,
  静かに部屋を出て行こうとして,視線に気づく。
  ものすごく眠そうなのに,無理やり目をあけて,
  顔を上げて,ふみが私の背中に問いかけているのだった。
  「えぇ…出かけちゃうんだ。なんでぇ…?」

  胸が痛い。
  ずっと一緒だよ,ふみ クローバー

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