師走の背中がもう目の前だ。
  来年の手帳やカレンダーが並ぶ店先で、
  今年眺めた花を、思い出せずにいる。

  たんぽぽの綿毛は、いつもの年と同じように、
  晩春の空き地を飛んでいっていたのだろうか。
  思い詰め、途方に暮れるうちに季節が過ぎていく。
  
  部屋に居ても、道を歩いていても
  ふみの声が聞こえる。
  「ずっと一緒だよ、って云ったじゃない。
   独りにしないって約束したじゃない」

  ふみは執念深いからなぁ…嫉妬心と独占欲の塊で…
  時間の経過とか、言い訳とか、彼女には通用しない。

  ふみと過ごした“時”と空気が、
  殺伐とした私の空き地人生に色を与えてくれた。
  ふみが生き抜いてくれたおかげで、
  この先何年も考える「課題」を貰った気がするよ。

  「ありがとう」って、ちゃんと逢って云うから。
  待っていてほしい、あと少し。
  ふみに逢うためには、「よく生きる」ことが必要だって、
  ぼんやり気づいてきたんだ( ボンヤリかいっ!)。

  今、私の傍らには大野くんという“未来”が居ます。
  大野くんと歩いていった先、
  未来にはふみの姿が在ると信じています 


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                 ( 『やさしい花』 奥 華子 )

   どこに向かえばいいのか 迷い探して歩いた日々
   君がくれた白い花が 何よりも優しく見えたんだ
  
   君が願う人になりたくて 僕はずっと歩いてきた

   愛する人を守れるように 人は生きてゆくのかな
   僕の未来に 僕の答えがあると信じている
      (略)
   君を守る人になりたいと ずっとそばで歩きたいと

   流れる雲に想いを乗せて 君に届けにゆきたい
   いつか僕らが描いた夢を 叶えるその日まで

   声にならない想いを胸に 人は生きてゆくのかな
   誰かのために やさしい花を 探しているのかな

   愛する人を守れるように 強く強く生きたいよ
   僕の未来に 君の姿があると信じている

   声にならない想いを胸に 人は生きてゆくのかな
   僕は君への やさしい花を 探して生きてゆく