どうにも身動きがとれないのは、
気持ちがいっこうに晴れないのは、
何故なのか。
「そんな日もあるさ」
と押しやる事もできず、
あえて考え込む。
「振り返る」クセだね。
好い記憶より悪い記憶のほうを、
何度も温め直して目の前に置く。
廃棄できないなら、
永久に冷凍しちゃえばいいのに、
それは決してできないんだな。
終わった事に執着する、
「建設的じゃない」、この性。
年齢を重ねても、変わらない。
逃げ出した職場の近況や噂を、
耳にする度、闇堕ちする。
やっぱり、自分が辞めた事は、
会社にとって良かったのだな。
その証拠に、職場は明るく、
フレンドリーに前進している。
「場違い」だと、ずっと苦痛だった。
自分は、あそこに居るべきではなかった。
最初から、居ないほうがよかった。
じゃあ、そこから脱出したんだもの、
もっと解放された歓びに浸って、
毎日を過ごしてもいいんじゃないか?
——そうならない。
こんな自分の面倒を、自分でみられない。
忘れる、
距離を置く、
簡単な事の筈なんだけどねえ……