ゆうべは、蕎麦屋で遅い夕ご飯を食べ
――長生きは相変わらず望んでいないので、
大晦日に蕎麦を食べる事は積極的にしない。
自分の為ではなく、人々の健康長寿を祈り、
時折ふらっと蕎麦を口に運ぶんだ――
その足で、地元映画館のレイトショーに行った。
映画が終わって、帰り道を歩いている時、
0時になった。
あまりに素晴らしい作品なので、
名場面を挙げていくと、トランス状態になる。
その中で、あまり取り上げられる事がないが、
個人的に非常に胸を衝かれるシーンがある。
殺人容疑をかけられたホームレス男性が、
弁護人に説得されても控訴しようとしない。
「俺らなんて、居るだけで世間から
邪魔者扱いされて、蹴られたり、
殴られたり、そんな人間なんだよ。
先生達のような人には、解らないよ……」
昔から「ホームレスに一番近い人間」と言われ、
自分でも、いつそうなってもおかしくないと思ってた。
ミライと生きている限り、路上生活にならないよう、
踏ん張る。ただ、その先はわからない。
だいぶ違う話だと批判されるだろうが、
非正規雇用でやむなく生きてきた自分は、
虚しさや不条理さで、全身の細胞が、
酸っぱくなるような感覚を恒常的に抱えている。
「自分で選んだんだよね?」
「自己責任じゃないの?」
正規雇用ならではの、不自由さはあると思う。
ただ、それ以上に、非正規雇用は不自由なのだ。
いろいろな事から排除される。
情報から、恩恵から。保障からもね。
分け隔てなく、派遣を大切にしてくれる人も、
もちろん居る。だから、どうにか続けられる。
存在しているのに、
まるで存在していないかのように、
扱われると、ビルの窓から飛び出したくなる。
選ばれた人たちには、視えない自分。
今日は睡眠優先で、コンビニ飯で済ませた。
今夜もミライとイチャイチャして、
明日は、美味しいものを食べよう。