文世さんに逢いたい

婆猫ふみちゃんが逝って、もう15年。
今は自分が人生休止中。ミライは10歳シニア猫です。

派遣歴長し。
限界を感じました。

高齢猫

漆黒の季節

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    四月は、漆黒の季節だ。
    ふみが逝ってから、そうなった。
    
    夜空に浮かび上がる桜は美しいが、
    その背後の大きな漆黒のほうに、
    気持ちが吸い寄せられてゆく。

    桜が咲いても散っても、
    春は、闇が近い。
    心に陽射しが届く事はない。


    四月に入ってまもなく、
    激しい咳込みが止まらなくなった。
    四年に一度ぐらいの周期、
    オリンピック・ペースで訪れる、
    「咳喘息」だろうか。

    これでは、電車に乗ってはいられない。
    無職になってよかったとしみじみ想うが、
    同様の理由で、
    競馬場の雑踏に身を投じる訳にもいかない。
    そのぐらい、周りに迷惑な咳なのよ。

    灯りを点けず、薄暗い部屋の中で、
    春が通り過ぎてゆく。



仁川の桜202201


仁川の桜202202

                           (2022年4/3 阪神競馬場)

にゃんにゃん ふみの日

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    ふみのお得意ポーズ。

    この間、偶然ミライが
    見せてくれて、嬉しかった。
    涙が出る。
    幸せだ。

    にゃんにゃんふみちぃ~
    ふみちぃ………
    

分離不安

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   3月に「まん防解除」が発令された後、
   派遣スタッフは、「原則出社」となった。
   正社員は、育児・介護の理由がなくても、
   テレワーク(在宅勤務)が認められる。
   理不尽だとは言えない……
   言わない……(私はただの引きこもりだし)

   昼休憩を挟み、職場に8時間。
   定時でダッシュ帰宅を志しても 
   (「志す」の使い方はきっと誤ってる)
   朝夕の通勤時間が加わるため、
   最低でも、10時間部屋を空けるんだよねえ。

   10時間、留守番をしていたミライ。
   そりゃあ、ご立腹で苦情の嵐なんだが、
   問題は、案外そこじゃない。
   10時間、ミライと離れているのがツライ。
   私自身が、ダメなのよ(笑)
   
   

黒猫と出逢う


    燃えるゴミを捨てる朝。
    外に出たら、黒猫に逢った。
    生後1年前後の、若猫だった。

    たっぷり、30秒は立ち尽くしていた。
    若い黒猫から、目が離せなかった。
    折しも、黒絵の一周忌から十日。

    13年前に出逢った黒絵に、
    とても、よく似ていた。 
    後に、動物嫌いの住民の方々は、
    黒絵のこと(風貌)を「怖い」と言った。
    今でも、自分には不思議なんだ。
    「嫌い」と言ってくれたほうがいい。
    「怖い」とか、被害者っぽい表現、
    どうにかしてくれないですかね……
    (あ。でも、被害者なのか。
     「糞尿被害」を全面アピールしてるから)

    長い30秒の間、脳がフル回転してたよ。
    私が、黒い若猫に手を差し伸べたい、
    しかし、過去の経験からそれを思い留まった、
    きっと、解ってくださるでしょう……

    一年足らずで、黒絵は生まれ変わったんか?
    あいつなら。
    そうだね。
    何度でも生まれ変わりそう。
    意地で、黒猫。

ホームにて


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    流した涙が、虹を架けるのだとしたら、 
    私は、ふみが渡る橋を造れなかったかもしれない。
    臨終の際も、荼毘に付す場でも、
    それほど泣いた訳ではなかったから。
    何事にも反応が鈍い人間であるため、
    感情は時間差をもって現れる。

    ふみは、駅で待っている。
    
    ふみの慢性腎不全が判った時に、
    高速画像で視えた「駅」。
    (癌発症の3年前に、終着駅を見てた)

    私が降りる駅のホームに、
    ふみは、いる。
    冷えないようにしろよ。
    冷えは、女の命取りだからな。

七夕に逢えたら

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     一年にたった一度でいい。

     二年に一度でもいい。

     ふみに逢いたい。

牡牛座の女2021

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    ふみとミライは、似ている。

    外交的で攻撃的なミライと、
    トロくさくて虫一匹殺せなかったふみと、
    いったい何処に共通点があるのか?
    言葉で的確に伝える事ができない。

    一緒に居ると、そう感じるのだとしか云えない。
    「同じタイプの女なんだよなあ」と、よく想う。


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    来月、ミライは8歳になる。
    フードのカテゴリーでも、ペット保険でも、
    立派に「シニア猫」と括られる年齢だ。
    いつになったら、あの性格が落ち着くのか、
    穏やかさが訪れるのか、わからんけど。
  
    顔を埋めると、図書館の古い本の匂いがしたふみ。
    ミライの身体からも同じ匂いがするようになるだろうか。

    ミライは、ふみの生まれ変わり、というより、
    ふみが私の為に授けてくれた宝物だ。
    「共に生きなさい」と。


十三回忌と四十九日

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    「3月8日が黒絵ちゃんの四十九日になります」
    と、葬儀場のご担当の方に教えられた時、
    「ふみの命日の翌日なんだな」と思った。
    また、動物にも四十九日がある事が、感慨深かった。

    今日は、3月7日。
    うとうとしている私の傍らで
    (ふみが寝たきりになってから、
     布団を敷かず、直にホカペの上に眠るようにしていた。
     今考えると、何故そうしていたんだろう?)
    既にこの時間からふみは、苦しんでいたのかもしれない。
    もっとも、眼の上の腫瘍が大きくなってから、
    ずっと苦しんでいた訳だが。



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    人は二度死ぬという まず自己の死
    そしてのち 友人に忘れ去られることの死
    (『トーマの心臓』萩尾望都)
    それなら、ふみに二度目の死は訪れない。
    私は、最期のその時まで、ふみを忘れられないから。

黒絵のシッポ

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     「黒絵ちゃんは、尻尾が長いんですね」
     と、葬儀場のご担当の方が仰った。

     黒絵の真っ直ぐで長いシッポが、
     警戒や威嚇などで膨張するところは見た事がない。
     たぶん、外で番長やってる頃は違ったんだろうけど、
     室内で大野くんやミライ相手に、
     粗暴な振る舞いをする事はなかった。
  
     まあ、大野くんは黒絵にグルーミングをして、
     そんな経験のなかったであろう黒絵の心をほぐしていたし、
     少なくとも、居場所を喪わないよう、
     黒絵は常に、知恵を働かせていたね。

     大野くんの失踪後、ミライとふたりきりになり、
     ミライの過激な攻撃を受けても、まず、反撃しなかった。
     私の留守中も、それは心に決めて守っていたんだと思う。
     生後1か月でうちに来たミライを見た時から、
     黒絵は、ミライが好きだった。
     ミライは、最後まで黒絵を嫌っていたけど……。

     黒絵から、毛やヒゲを貰う事はしなかった、結局。
     飼い猫という形ながら、飼い猫ではなかった黒絵。
     野良番長の誇りに敬意を表して、送り出した。


  ※ 写真は、以前のマンションでゴハンをあげてた頃。
     はい。全面的に私が悪いです。
     マンション住民からかなりバッシング喰らいました。
     責任取って室内飼いにしたけど(ペット可物件)、
     動物嫌いの古参からの苦情(濡れ衣)が続き、
     とうとう引っ越したんだよねえ、黒絵。

黒絵に花束を

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     自分でも意外な程、毎日涙が出てきます。

     ミライにご飯をあげる時、
     「黒絵はもう食べられないんだな」と思い、
     仕事から帰った時、腹を空かせた黒絵の出迎えがない事に
     冷え冷えとした寂寥を感じるのです。

     目の端に黒いモノをとらえると、黒絵が居ると思ってしまう。
     そういえば、オヤツ欲しさに私の横でずっと待ってたなあ。

     ミライの機嫌をとる為もあって、あえて区別をしていた。
     でも、過去にも度々書いているように、
     黒絵の存在を重荷に感じ続けていたのが本音です。

     この10年、黒絵を原因としたトラブルを抱え、
     幾度か局面を迎えながら、見捨てる選択はできなかった。
     ただ、彼を大切にしていたと誇る事もできない。

     標準的な葬儀にしました。
     市のクリーンセンターに申し込めば、
     10分の1の費用で引き取ってもらえるけれど、
     それはあくまで焼却処分であって、「弔い」ではない。
     死に水を取ったなら、骨も拾いたい。

     火葬の直前、5分程、葬儀場の職員さんが
     「最期のお別れを」と席をはずしてくれました。
     嗚咽がこみ上げ、涙が零れて、
     「ごめんなあ」としか言葉が出ません。
     黒絵、本当にごめんなあ。

     花と好きだったクリスピーを傍らに置いて、
     黒絵は、老いて病んだ肉体から離れていきました。

     Flowers for KUROE
プロフィール

あつぶこ


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