東京に比べると、ほんのちょっぴり温暖な地元でも、
年明け以降、氷点下を記録する日が増えてきました。
“徘徊”(大野くん探しの旅)を始めてから
気づいたのが、午前2~3時は
覚悟しているよりは寒くないって事ですね。
午前3時前後に“餌やり”をされている方が複数居ると、
間接的に情報を得て、やや納得できました。
人間側の労力・負担はともかく、
凍てつく寒さの極限を、人も猫もある程度回避できている…?
冬の一日の中で、最も寒さが厳しいのは、
朝6時頃ではないでしょうか?(関東地域しか判らんけど…)
顔を出した太陽が、上昇していくために
地上からエネルギーをわしづかみにして奪っていくのでしょうか。
強烈な引き潮のように、大気と地面から熱が
いっきに喪われていくのを感じます。
徹夜のアルバイトを週2回ペースでやっていた時代
(最も長く居続けられた職場でした)。
始発が動く頃に退社し、よく銀座・有楽町のほうまで
歩いたものです。
最寄駅は徒歩10分程度の所にあったけど、
なんとなく、外の空気が疲れた脳に心地よくて、
更に長く歩き続けました。夏も冬も。
銀座が近づくにつれ、視界の先にゆらゆら影が見えてきます。
冬だとまだ、日の出の片鱗もなく、
街灯が照らす部分以外は真っ暗だから、
何が動いているのか、遠めには判りません。
その影の多くは、ホームレスの人々の姿です。
日中や街に賑わいのある時間帯は、
段ボールや新聞紙に覆われて寝ている彼らも、
夜明けを迎える頃には、とぼとぼ歩き回ったり、
風をよけられる建物の片隅に立っています。
そうしないと、凍死してしまう危険があるからだそうです。
寝転がったままのホームレスを見つけたら、
声をかけて起こすのが、冬のおまわりさんの役目。
「邪魔になるから退去せよ」と促す目的ではなく、
凍死を防ぐためなのだと聞きました。
あの、真冬にうごめく影たちは、
「死んではいけない」と、闘う彼らの姿でもあったのです。
もう、銀座の未明の光景は、
15年ばかり見ていません。
屋根の下で、布団にもぐっていられるって、
ものすごく幸せなことだ。
私の脳は、あいにく“幸福”を感じる機能に欠陥があるみたい。
でも、一日の終わり、布団の中に入った瞬間は、
「あ~なんて幸せなんだろう…!」と、心の中で叫んじゃいます。