ふみの夜明け


    またもや御無沙汰しているうちに、梅も桜も過ぎてしまった…

    待ちかねて、やっと訪れた春は、駈け足で去っていくのね。

    
    朝と夕方、決まった時間に決まった行動をとっている人は多いでしょう。
    典型的なのが、通勤・通学。
    特に朝。通勤ラッシュ時に、乗る電車はだいたい決まっている。
    電車(の時間)だけじゃなく、その車両、ドアの位置までね。

    ある程度の期間、同じ電車を利用していると、
    “固定”の顔ぶれが記憶に刻まれるようになります。
    同じように、おそらく私の姿も誰かが憶えている。
    そして、時間が経つうちに、そのお馴染みの顔ぶれが 
    “交代”もしてゆくのです。

      あの、つい挙動不審に見えてしまってた男性は、
      仕事を喪ったのだろうか。転職か、シフト変更か?
      爽やかなカップルは、どちらも姿を見なくなったけど、
      結婚して引越しでもしたんだろうか。
      別れて転居した可能性もあるよな…


    そんな風にぼんやり、あれこれ想っているうちに、
    月日は流れ、私は今日も同じ電車に乗ります。
    つまり、同じ職場に通い続けている訳です。

    いつ解雇されてもおかしくない。
    実際、自分が働き始めてから、
    派遣スタッフが何人も契約終了になって、
    彼らが去っていくのを見送りました。



生後1年(推定)の大野くん

                    1歳の誕生日(推定)を迎えた頃の大野くん



    今年の1月~3月の間は、職場環境の改善を望み、
    派遣元・派遣先と少し、揉めました。
    “トラブル”と認定されるケースなのかもしれません。
    自分としては、心身を少しでも好い状態に保って、
    1日でも長く働いてゆきたいからこそ、
    めずらしく本心をぶつけたのでした

    6年前。ふみが逝った直後。
    それまでは、あまり気にしないように努めてきた事が、
    ふと心に引っ掛かって、結局、
    長期就業を見込めた派遣先を辞めてしまいました。
    あの時と、状況が似ています。

    幸い、どうにか首の皮一枚つながった形で、
    まだしばらく勤められそうです。


    夜明け前が、一番昏いのだと思います。