友人が、入館証必携の職場で働いていた時、
入館証を持たずに部屋を出てしまい、
その事に会社ビル前で気づいて慌てたところ、
入館チェックの担当者がスムーズに通してくれた。
その担当者は、友人にこう云った。
「俺たち(警備員)に挨拶するのは、
あんたぐらいだから」と。
確かに、友人は、
出社時は「おはようございます」、
退社時は「失礼します」「お疲れ様です」
と、特に何の考えもなく、挨拶していた。
――習慣で。
そこに「居る」のに、
まるで「居ない」かのような、
その存在を擦り抜けた対応は、
別段めずらしくはない。
特記すべき事でもないんだろう。
自分が、もし正社員だったら、
どんな態度でいるだろう。
いや、それは関係ないよな。
(ちなみに;冒頭の友人は、
正社員であり、比較的、
裕福な家庭で育っている)
十代の頃からずっと、
何処でも誰に対しても、
挨拶をするようにしてきた。
人見知りなのに、
「挨拶はできる子」と言われた。
「選民意識」など持ちようがなく、
非正規雇用のまま生きて来て、
でも、その卑屈さ故ではなく、
挨拶は欠かさないのが「校訓(?)」だ。
警備の人、清掃をしてくれる人、
職場を転々としても、
何処に行っても、
彼らには必ず挨拶をしている。
そこには「感謝」を当然込めて。
派遣でもアルバイトでも、
存在感を発揮している人はいる!
自分は、そうじゃない。
能力がなく、人柄も好くないもん。
ただ、現在の部署で、あまりにも、
「居るのに居ない」扱いを受けていると、
いっそ消えたくなる、煙のように。
自分は、「ゴミ以下」の存在だと、
それは十分解っているけど。
居場所を求める旅が人生なら、
私は、それを見つけられなかった。
そうできる資格がなかった。
※1 画像は、5年前の転居後のもの。
段ボールの山の中に、
実はネコ達が居るのよ
(当時は黒絵も元気に居た)。
「居るのに居ない」画像です。
※2 「稲井さん」は、
小説『ゴールデンスランバー』で、
ジャブのように効いてくる存在