黒絵は、“ジョーカー”だ…
そう口に出して言ったのは、先月でしたが
(たぶん、「初めて」と自分で思っているだけかも…)、
心の中では、だいぶ前から何度も呟いていました。
ジョーカーは、トランプで「最高の切り札」にもなるらしい。
でも、トランプ遊びはもっぱら「ババ抜き」だった自分には、
その“ババ”のイメージしかありません。
持っていたら厄介な札。
敗北を余儀なくされる札。
空腹を訴えて、部屋の前に黒絵が現れたとき。
野良への餌やりで苦情を受け、
一度は見捨てようとしながら、
執念で部屋に入り込んでいた黒絵を見つけたとき。
結局、常識的な判断のもとに行動できない私は、
拒むことをしませんでした。
だから、“ババ”を引いてしまったのではなく、
自ら選び取ったという事ですよね…
彼が、トラブルの火種になる存在だと、
過去の出来事が実証してくれているし、
将来に対しても、不安は抱えていました。
なのに、何でもすぐに諦め、
努力をちょっとばかりして成果が得られないと、
「やっぱり無理なんだ」と、楽な途に落ち着いちゃう。
すべてにおいて、自分はそうです。
自業自得だと感じるばかりの人生です。
好奇心旺盛で活発なミライが、
黒絵の外出に興味を示して「アウトドア派」になる事を、
危惧しながらも、防止することができなかったとき。
その結果、もともとは野外行動を望んでいなかった
大野くんが、ミライの監督者として
共に外へ出てゆくようになったとき。
ネックになるのは、常に黒絵の存在でした。
完全室内飼いをとうに諦めていた、黒絵。
もちろん、彼に責任があるのではありません。
絶対。
飼育管理者である私が、
無為無策であった、その事実に問題があるのです。
自業自得かあ…
猫たちに、申し訳ない。
ミライ、ごめん。
黒絵、自由を奪って、すまない。
そして、大野くん。
ごめんね。
本当に、ごめんね…