起きてる時は常に眠いの。
  ずっとずっと眠っていられるのが幸せ 
  でも、そんな自分には、
  “黄金のまどろみ”は永遠に訪れないのかもしれない。
  なんとなく、一所懸命に生きる者のまぶたにこそ、
  与えられる褒美のような気がしてさ…

  『Golden Slumbers』という曲のタイトルと詞を知った時、
  真っ先に頭に浮かんだ言葉が「黄昏」だった。
  “黄金の微睡(まどろみ)”から連想したら、
  そこは、日没を迎える前のひと時、空間だったんだよね。

  ふみが子猫だった頃、
  バイト先で仕事中にふと、
  「たそがれ…」と口に出して呟いてた。
  確かに夕刻だったんだ。
  でもね、自分自身の人生も日没直前なら…
  そんな願望も込めて発した言葉のように思う。

  ヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘップバーンの
  有名な映画、『黄昏』が評判になっていたし、
  浜田省吾も「好きな色は黄昏から夜に移ろっていく時の空」
  とか言っていた。

  思えば、暁や黄昏って贅沢な時間であり、
  一日の中で何かが凝縮した色をしてるなぁ…

  何匹もの猫が、私の腕の中で息を引き取った。
  多かれ少なかれ苦しみながら、
  みんな永遠の眠りについていった。
  最後に抱いたのは文世な訳だけども…
  一瞬でも、“黄金の微睡”は訪れたのかしら。
  そう信じる事ができれば、少しは救われる。
  みんな、必死に生き抜いたんだからさぁ…