大野くんとミライは、よく一つのお皿で
ご飯を食べていました。
うちに来た時からウェットフードにそっぽを向いて、
ドライフード専門(しかも私の掌から)の大野くんが、
ミライ用に出していた仔猫カルカン(パウチタイプ)には、
何故か俄然興味を示したのです。
小皿から中皿に変更。
2匹同時に食べるようになりました。
食に興味の薄い大野くんが、ウェットフードを食べる事で
摂取量が増えるから、大いにホッとしたものです。
出社前と帰宅後に1回ずつ、仔猫用カルカンを出します。
意外にも、すぐさま食いつくのは大野くん。
やや遅れてミライが中皿に近づくのですが、
ミライの気配を察した瞬間、
大野くんはスッと顔を片側に移します。
それまではお皿の真ん中で食べていたのを、
ミライ用に半分スペースをあけるのでした。
当たり前のように、自然な動きで。
静かに、じ~んと感動したものです。
やっぱり、大野くんは、気持ちが優しい…
上の写真の日付を確認したら、
大野くんが行方不明となる3週間前でした。
2枚目・3枚目の写真は、8月中旬に撮ったもの。
毎年毎年「この暑さ、異常だよねぇ~?!」という夏が続き、
今年もひどい酷暑。特に湿度が凄かった気がします。
節電、というより、節約。いやいや
自宅のエアコンが程よい温度・湿度になってくれないため
(旧いタイプのせいか、冷えすぎてしまう)、
暑さを憎む私なのに、部屋ではあまり冷房は点けないのです。
が。今夏は、さすがに訴えがありました
大野くんが、だらしなく床でのびている私に近づいて、
「れ…冷房入れてほしいにゃ」と云いましたもん
平均体温が38℃の猫が3匹。
ひとつの部屋に集まると、暑いっすね
「でも、これなら今度の冬は逆に暖かく過ごせるな」
と、3~4か月後を想像して、喜んでいたのです。
師走を迎えた今日、部屋に居るのはミライ1匹。
黒絵は、倉庫代わりの部屋で過ごしています
(2年前から夜間はストーブを点けている)。
ミライは外に出したくない
(箱入り娘にしたいのではなく、安全確保の目的から)。
“飼い猫”になりきれない、現役野良とも言える黒絵には、
どうしても出入り自由の状態が必要である。
開放したままのあの窓
―― 大野くんがミライを心配して出て行き、
そのまま戻ってこない窓 ――
あの窓から、ミライを外に出す訳にはいかんのです。
そのため、黒絵にはすまないけれど、
隔離生活を選択させてもらいました。
(1年半前の状態に戻った、という事)
黒絵にも危険が及ぶ可能性はありますが、
そこは、野良のプロ根性に賭けましょう。
いざとなったら、自分の身は自分で守る能力があるし、
今までも、そうやって危険をかいくぐってきた筈です。
さしあたっては、ミライを優先的に守り、
大野くんを探し続けていくつもりです。
私生活を離れたところでは、
大野くんの“失踪”について一切口外していません。
話しても、単なる“家出”扱いで終わるだろうし、
「仕事ができると一度も思った事がない」私は、
業務上の失点を大野くんの事に結び付けられる、
それを恐れているのです。
そして、「うちの飼い猫が1匹減った」なんて、
そんな台詞は絶対、言いたくない。
大野くんは私のもとに戻って来るから…
「うちには3匹猫が居ます」と言い続けます。